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1-8 もうすぐ夏休みだ、矯正だ!?

- 夏休みに初診相談しても、夏休みの間に矯正装置がつくわけではありません。 -

夏休みになると、子供の歯列矯正の初診相談がグンと増えます。たぶん、当院だけではなくて、全国の矯正歯科でも全く同じだと思います。

普段は、学校、クラブ、塾、習い事と最近の子供は本当に忙しいですね。矯正相談を受けるのに、夏休みしか時間がとりにくいという事情があるのでしょう。また、6月末までの学校歯科健診で、歯列不正の結果通知をうけたら、タイミング的に夏休みになってしまうということもあるのでしょう。

歯列矯正治療は、虫歯の治療と違って、何年もかかります。このことを知らずに初診相談でビックリされる親御さんがたまにいらっしゃいます。学校歯科健診結果の通知書において、虫歯と歯列不正が同列で並んでいることからくる誤解でしょうか。しかし、『何年もかかる』ことは常識として、最近では、ほとんどの方が知っておられます。

歯列矯正は何年もかかるということは、歯列矯正は大変だということでもあります。親御さんにとって、日常生活に支障が生じるのかどうかも気になるところでしょう。学業やクラブ活動への影響も気になります(【矯正装置により日常生活に支障が生じるのか?】の項を参照)。色々と考えている内に、矯正治療に対するハードルはだんだんと上がっていきます。「この高いハードルを越えるためには、子供達に時間的余裕がある夏休みに装置をつけてもらおう。夏休み中に装置に慣れておきたい。だから、夏休みに相談しよう」となるのです。

しかし、夏休みに初診相談して、装置まで夏休みにつくことは可能でしょうか。医院によっても事情は違うでしょうが、夏休みが長いからと言って、夏休みに装置装着までいくことはほとんど不可能だと思います。一般歯科では、虫歯を削ってから、詰め物(インレー)や被せ(クラウン)をするまでに1、2週間でしょうか。恐らく、矯正装置もそれ位だと思われてのことでしょう。しかし、実は、装置装着までの間に、次のようなステップがあるのです。

(初診相談)→(検査)→(診断)→(装置の型どり)→(装置装着)。5つものステップがあるのです。当院でも、この間、1ヶ月半~2ヶ月はかかります。混み合っていて、予約の取りにくい時間帯を希望される場合などでは、装置装着まで3ヶ月くらいかかるかもしれません。夏休み中には、医院もお盆休みを取りますので、夏休みは実質1ヶ月だと思います。ぎりぎり装着までいけても、慣れるまでには至りません。親御さんの趣旨から考えると、夏休みの終わりには装置に慣れていて、食事や発音に問題がないレベルまで達する必要があります。この『装置に慣れる』もステップに数えると、何と6つものステップが必要なのです。つまり、装置に慣れた時から逆算して考えると、6月中に初診相談していただく必要があるのです。そう、今から慌てて初診相談を受けても、夏休み中に装置に慣れる段階にまで至ることは、かなり難しいのです。

以上の事を知って、それでは、初診相談は来年の6月まで待とうなどとは思わないで下さい。待っても構わないことは多いのですが、その判断は、矯正歯科の先生方の説明を聞いた上で判断して下さい。ただし、「手遅れになる」などの脅迫的文言を使用しての勧誘的説明は疑ってみた方が良いと思います。『思い立ったが吉日』です。夏休みは、複数件で初診相談をし、最も説明に納得した医院で、9月以降に治療を開始するための大事な期間としてとらえては如何でしょうか?。複数件の矯正歯科を回ることで、「手遅れになる」などの脅迫的文言を使用する歯科医の説明が間違っていることが判明するでしょう。この辺りの事情は、【子供の歯列矯正-③治療医院の選択】【歯列矯正をしたのに、歯並びが治らない!?】のコラムも併せて読んで頂ければご理解頂けると思います。

夏休みの装置装着にこだわる親御さんは、心配性で、何かとハードルを上げて、事態を難しくする人かもしれません。矯正治療は何年もかかるのですから、少し肩の力を抜いては如何でしょうか?ベテランの矯正歯科医なら、夏休み前の装着になりそうなら、少し遅らして、夏休みに入ってからの装着を指示したり、お盆休み前の装着になりそうなら、お盆休み後へ時期をずらしたりと、親御さんが言わなくても、考慮してくれるはずです。ただし、矯正治療を安易に考えないその姿勢は、子供の矯正を成功させるためには大事な資質かもしれません。子供が気にしていないのに、安易に始めるとうまくいかないことがあるのは、前回のコラム(【子供さん自身が歯並びを気にしていますか?】)でご説明しました。そのような資質があると、うまくいかないような事態に陥らないで済むかも知れません。

以上をまとめると、夏休みに初診相談しても、夏休みの間に矯正装置がつくわけではありません。夏休みは、素晴らしい矯正医に出会うための準備期間としてとらえ、複数の矯正歯科で初診相談を受けてみては如何でしょうか。

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