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1-3 子供さん自身が歯並びを気にしていますか?

− 子供の歯列矯正を成功に導くために一番大事なこと! 第1段

毎年6月末までに、すべての学校で、学校歯科健診が行われます。その結果、子供さんの歯列不正を指摘されて、矯正歯科への受診の機会を探っておられる親御さんもいらっしゃいますでしょうか。或いは、夏休みからの矯正治療開始を目指して、そろそろ受診を考えられている親御さんもいらっしゃいますでしょう。

学校歯科健診で指摘を受けたから、歯列矯正を開始するというのは、『きっかけ』としては、良いように思います(【学校歯科健診で歯列不正を指摘されたら・・・】を参照)。しかし、治療を開始したからといって、必ず歯並びが良くなる保証はないかも知れません。もし、途中で治療を投げ出してしまったらどうでしょうか?歯並びが治らないばかりか、かかった費用も無駄になってしまいます。

当院では、子供の患者さんだけでなく、大人の患者さんも大勢来院されています。その中には、子供の頃、矯正治療を受けたが途中で断念した方や、何とか動的治療を終了したものの、保定をいい加減にして後戻りした方が少なからずいらっしゃいます。これらの患者さんに共通することは、親に言われるがままに治療を開始してしまったので、治療に気乗りしなかったということでした。つまり、子供さん自身が歯並びを気にしていなかったということなのです。

もし、子供さん自身が歯並びを気にしていなくても、小学校低学年の時は、親の言うことを何とか聞いてくれて、開始早々は問題ないかも知れません。しかし、歯列矯正治療は、数ヶ月で終わることなどなく、何年もかかってしまいます(【子供の矯正治療の開始時期と終了時期について】を参照)。場合によっては、高校生くらいまで要しますので、その間には、反抗期がやってきます。昔は中学に入ってから認められた反抗期も、最近は随分と低年齢化しているとも聞きます。親に言われるままイヤイヤ矯正治療を始めた場合は、反抗期で断念する危険性があるのです。

また、治療の開始がとても低年齢(3,4,5歳くらい)の場合は、開始自体が難しいこともあります。無理強いすると、当面の治療がうまくいかないばかりか、治療への拒否感が中学生くらいまで長く続く場合もあり、将来の治療までうまくいかない可能性があります。「今すぐ開始しないと大変な事になりますよ」と、脅しのような勧誘手法を使う歯科医院もあると聞きます。このような医院では、子供さん自身が歯並びを気にしているかなど、まったく無視しているかもしれません。或いは、反抗期をむかえる前に治療を終了するから大丈夫などと、考慮しているていを装っているだけかもしれません。そんなに短期間で治療を完了することができないことは先にも述べました。

矯正治療には患者さん自身の協力がかかせません。初診相談時に、次のようなことを私はよく言います。「矯正治療は医院で受ける治療だけでありません。医院での治療が半分、お家で行う治療が半分です。お家で私の指示を守っていただかないと、治療は成功しません」。例えば、子供さん自身が付けたり外したりする取り外し式の装置の場合、治療の成否は子供さんの努力にかかっています。また、エッジワイズ治療時に使う、顎間ゴムという取り外し式のゴムでも、決められた使用時間を守るかが治療の成否に関わります。子供さん自身が歯並びを気にしていないと、協力が悪くなりますので、当然ながら、きっちりと治りませんし、治療が長期間に及ぶ可能性があります。また、そのような子供さんは、歯磨きもいい加減になりがちで、虫歯になってしまうリスクも高くなってしまいます。

矯正治療は、固定式装置(エッジワイズ装置)が外れるまでではありません。せっかく並んだ綺麗な歯並びを維持するのも治療の一環となります。もし、イヤイヤ行った矯正治療なら、保定装置(リテーナー)をほとんどしなくなり、後戻りしてしまう可能性がとても高くなります。

以上をまとめますと、子供の矯正治療を成功させるためには、子供自身が歯並びを気にしているかが最も必要な条件であり、そうでない場合は、以下のような問題が起こる可能性が極めて高くなります。

*もし子供さん自身が歯並びを気にしていない場合、「子供は歯並びを気にしていないのですが、治療できますか?」と初診担当医に尋ねてみて下さい。「大丈夫」と簡単に答えるようなドクターなら大丈夫でない可能性があります。

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