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セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)

明るく魅力的な笑顔を作り出す矯正治療システム
デーモンクリアの登場で審美面での死角もなし

セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)とは・・

『弱い力ほど歯はよく動く』という原理原則が列矯正にはあり、なんと数十年も昔から分かっていました。しかし、弱い力で歯を三次元的に動かす装置を作ることは技術的に難しく、今まで存在しなかったのです。既存の装置では、弱い矯正力を与えても、装置とワイヤーの間に生じる摩擦で打ち消されてしまい、歯には全く力がかかりませんでした。このような歯がよく動く力とは、至適矯正力と呼ばれ、歯根1cm2当たり80g以下とされています。食事で歯が噛み合う力が数十kgにもなることから考えて、いかに弱い力が要求されているかご理解頂けるでしょう。

近年、矯正歯科の世界にも技術革新が起こり、矯正装置と矯正用ワイヤーの間に生じる摩擦を軽減できるシステムがいくつか登場しました。その中の一つが、アメリカの矯正医(デーモン先生:Dr. Dwight H. Damon)自らが考案し、Ormco社から製造販売されているセルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)です。そのシステムでは、その摩擦力を600分の1にまで軽減することに成功しました。

このシステムを支えている技術革新はそれだけではありません。システムで使用されているワイヤーは、27℃以上で活性化されると、いつまでも矯正力を発揮し続ける形状記憶合金です。『持続的な力ほど歯がよく動く』という原理原則も、このシステムでは達成されています。

これが弱い力で歯が動くメカニクスです!

  • 従来のシステム従来はブラケットとワイヤーをエラスティックで強く締め付けていましたので、大きな摩擦力が生じていました。
  • セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)ではエラスティックが不必要となり、ブラケットに付属するシャッターを閉じるだけです。ワイヤーをまったく締め付けないようになったため、摩擦力は従来の600分の1になりました。

このシステムが、単なる“歯がよく動く装置”としての評価しかなければ、他にも摩擦の少ない矯正装置がある中で、こんなにも多くの矯正医に支持されなかったかもしれません。デーモン先生が世界中で講演し、多くの矯正医が感銘したのは、むしろ、治療後の歯並びの美しさや広くて明るい魅力的な笑顔にありました。こうして、単なる装置としてではなく、システムとしての完成度の高さが認められていったのです。

既に様々な技術が詰め込まれているにも関わらず、さらなる改良が続けられています。改良の度、個々の歯の位置に関わる数値目標が変更され、より的確な位置へと歯をコントロールできるようになりました。また、シャッター部分の構造も毎回のように変更され、より開閉しやすく丈夫なものとなりました。さらに、半透明のクリア装置(6代目)が登場し、審美面でも大幅な改良がなされました。

左の写真は、デーモン先生自らの症例です。こぼれるような白くて広い歯列になると、とても明るい笑顔に変わります。この魅力的な笑顔を感じ取って下さい。

◎ セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)のメリット

1.弱い力で歯が動き快適である
歯に接着されたブラケットにワイヤーを通して矯正力を加えると、ブラケットと歯は一塊になって、ワイヤーに沿って動いていきます。ワイヤーとブラケットの間に生じる摩擦力が大きければ大きいほど、歯は動きにくくなってしまいます。しかし、このシステムの場合、その摩擦力が従来のものに比べて600分の1に軽減されているため、弱い力でも歯が動きます。氷の上の方が物も滑りやすいのと全く同じ原理です。弱い力で十分なので、従来の矯正装置に比べて快適です。
2.とても効率的に歯が動く
不正でデコボコした歯並びに沿って、ハイテクワイヤーを装着すると、その形も歯列と同じくデコボコになります。そして、ワイヤーが記憶していた元の形に戻ろうとする復元力を利用して、歯の移動が行われます。しかし、ブラケットとワイヤーを強く締め付けると、強力な摩擦により、ワイヤーは元の形に戻れません。ところが、摩擦の極めて少ないセルフライゲーションブラケット装置(デーモンブラケット)と一緒に使用されると、この変形した状態のハイテクワイヤーは、元の形に戻るまで摩擦に邪魔されず、弱い力を発揮し続けます。弱い力で歯が動くのかと疑問に感じられるかもしれませんが、弱くて持続的な矯正力が働くと歯が効率的に動くことが生物学的に分かっていますので、とても理にかなっています。
3.笑顔が魅力的で明るいものになる
美しい笑顔とは、しっかりと上の歯がみえることが大事で、また、歯列のアーチの広い方が、口角に暗い影ができなくて明るく見えます。通常のブラケット装置では、歯列が自然と横に拡大されることはなかったのですが、セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)では自然と横に広がります(メリット④を参照)。そのため、口を開けば、しっかりと歯が見える明るい笑顔になります。
4.非抜歯治療の可能性が高まる
このシステムにより歯に活性を与えると、その支持組織である歯槽骨・歯周組織も、歯と共にダイナミックに動きます。そして、舌や口腔周囲の筋肉からの力を受けて、歯列は側方へ自然と拡大します。今まで拡大が難しいとされていた成人でも拡大することがありますので、子供だけでなく成人にとっても非抜歯治療の可能性が高まります。ただし、口元や咬合の状態により歯を抜くかどうか判断しますので、全ての患者様が非抜歯で治療できるわけではありません。
5.顎間ゴムが効きやすい
矯正治療中は、顎間ゴムと呼ばれる小さな取り外し可能な輪ゴムを、上下の歯に掛けて頂く場合があります。このゴムにより、噛み合わせをしっかりした状態にしたり、受け口や出っ歯を改善したりします。従来の装置では、歯をワイヤーにしっかりと縛り付けていたため、個々の歯の動きが規制され過ぎていました。そのせいで、顎間ゴムが効きにくかったのです。また、顎間ゴムの力も強める必要がありました。しかし、このシステムでは、個々の歯が自由に動けるような状態でワイヤーにつながれているため、弱い顎間ゴムでもとても良く効きます。
6.清掃しやすい
従来は、ワイヤーをブラケットにとめるために使用していたエラスティックの周囲が不潔になりやすく、清掃性が悪かったのですが、このシステムでは、エラスティックが不要になったので、とても清掃しやすくなっています。歯垢は、虫歯や歯周病、口臭の原因になりますので、お手入れのしやすさが何よりです。
7.治療時間(チェアータイム)が短くなる
ブラケットにワイヤーをとめるのに使用していたエラスティックが不要になりましたので、1回あたりの治療時間も短くなります。長時間口を開けっ放しにするのは辛いものですから、治療時時が短くなったことにより気楽に通院して頂けます。もともと矯正歯科では、歯を削ったり、麻酔をしたりということがほとんど有りませんので、子供でのメリットが特に大きいです。
8.アポイントメントの間隔が長くなる
セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)のブラケットとハイテクワイヤーを組み合わせて使用すると、長期間にわたって持続的な矯正力と効果を発揮しますので(メリット②を参照)、従来の装置に比べて来院の間隔がいくぶん長くなっています。ただし、早めに来院して頂いた方が治療の短縮につながる場合や、治療の段階によって来院頻度が異なる場合もあります。
9.急速拡大装置などの大きな舌側装置を使わない
自然な拡大効果を期待できますので、急速拡大のような大きな舌側装置は必要ありません。また、動いては困る大臼歯が、勝手に前方へ動いてしまうようなことも少ないため、大きな大臼歯固定装置を必要としません。このように、通常、歯の裏側に大きな装置を使いませんので、清掃しやすく、発音にも問題が起こりにくいです。ただし、どうしても積極的に歯列拡大をしたい場合や大臼歯が不安定な場合など、舌側装置と併用することが稀にあります。
10.患者様ごとの生理的にあった治療である
自然な歯列の側方拡大効果など、患者様各人の持てる力を引き出した結果です。また、弱い矯正力のおかげで、食事中の歯が噛み合わさった時でも、歯と歯を支えている歯槽骨・歯周組織との間で、本来持っているダイナミックな反応が起こりますので、歯の生理的な状態が維持されます。このシステムでは強引に歯を並べるのではなく、無理をせず自然な変化として歯をキレイに並べてゆきますので、後戻りも起こりにくいのです。
11.歯周組織が健康になる
生物学的に理にかなった力で矯正できるため、歯周組織への為害作用が少ないだけでなく、むしろ歯周組織が健康になることもあります。装置自身の清掃性が良いことと、歯が並ぶに従い磨きやすくなることも、歯周組織の健康にプラスとして働きます。
12.歯や顎関節への負担が少ない
人には機能的咬合系という、噛み合わせに関するシステムが備わっています。そのシステムとは、サッカーのチームプレイに似ていて、脳・中枢が司令塔となり、咀嚼筋・歯・顎関節の3つの要素が相互に連係しバランス良くコントロールされて、噛み合わせが決められているというものです。
もし、歯に異常が起こると、このシステムはどうなるのでしょうか。サッカーに置き換えて考えると理解しやすいのですが、攻撃の起点となっている主力選手が抑えられたら、他の選手達との連係がちぐはぐになり、個々の選手は大変な負担を強いられ、そして、チームは試合に負けてしまうでしょう。つまり、歯に異常が起こると、他の2要素である咀嚼筋や顎関節にも悪影響が及び、最終的には、噛み合わせにも狂いが生じます。
このシステムでは、従来よりも弱い矯正力によって歯に与えるダメージを最小限にできるため、咀嚼筋や顎関節にかかる負荷も軽減されます。そして、噛み合わせにもズレが生じません。

× セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)のデメリット

従来のセルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)では、ブラケット全体が金属製であったり、一部に金属が含まれていたりしたため、審美的には、セラミックブラケットに比べて劣っていました。しかし、クリアな装置の登場で、審美面でもデメリットはなくなりつつあります。今のところ全体的には、従来からのブラケットと組み合わせて使用致します。笑ったときに歯の見える範囲は人それぞれですが、たいていは下顎の歯が見えませんので、「あまりデメリットは感じない」とのご感想を頂いております。

装着感ですが、従来のセルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)のブラケットは大きく、厚みも大きかったため、あまり快適とは言えませんでした。しかし、改良のたびに小型化され、装着感は他のブラケット装置と比較して劣っていないように思います。また、非常に高価な装置のため、面取りや研磨も十分にされているため、違和感の軽減に役立っています。

当院でのセルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)による実際の症例

こちらをご覧ください

最後に

世界中にあまたある矯正装置の中で、セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)はとても優れたものの一つです。モータースポーツに例えると、まさしくF1カーです。F1カーが経験の少ないドライバーに扱えないのと同様、このシステムを使いこなすには、術者にも高度な技量が要求されます。

F1カーをもし経験の少ないものが運転したとしたら、直線コースではある程度のスピードを出せるでしょう。しかし、コーナーにさしかかると、大幅な減速を強いられたり、速度オーバーでクラッシュしたりするかもしれません。同じことが、このシステムでも起こりえます。十分な経験を持たない歯科医がこのシステムを使っても、最初のレベリングはある程度うまくいくでしょう。しかし、抜歯スペースを上手に閉じたり、仕上げの噛み合わせをつくったりする段階では、相当に苦労するのは間違いないのです。『セルフライゲーションブラケット装置(デーモンシステム)とは術者を選ぶ矯正装置』なのです。

《文責:柴口竜也》

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