- 30歳代は成人矯正のゴールデンエイジ!? -
歯列矯正は子供がするものだと思われていませんか。先ずは、円グラフをご覧下さい。これは、当院で矯正治療を開始した時点での年齢を、年齢層別に分類して、その割合を示したものです。確かに、当院の患者さんでも、66%は未成年です。しかし、成人の患者さんも34%いらっしゃいます。実に1/3は成人なのです。成人の内訳を見ると、20歳代は19%、30歳以上は15%です。30歳以上の患者さんが意外と多いことにびっくりされたかもしれません。矯正歯科医院によって若干の数値の違いがあるかもしれませんが、これは歯列矯正歯科医院に共通の傾向です。
私が大学を卒業した1989年(今から23年前)は、確かに子供中心で、成人矯正は少なかったように思います。しかし、その後、1993年(今から19年前)には、日本成人矯正歯科学会という、成人患者を対象にした矯正歯科の学会が発足し、成人矯正がクローズアップされ出しました。更に、その2年後の1995年には、Windows95が発売され、インターネットが一般人へも普及してゆきました。つまり、インターネットから、歯列矯正に関する情報が簡単に手に入るようになり、成人でも矯正が可能であることが、徐々に広まって行き、成人患者の増加につながったのだと思います。そして、そのことが、日本成人矯正歯科学会の発展や活動を後押しすることにつながったのかもしれません。今や、一般向けの歯列矯正に関する健康本も多数出版されるなど、情報はあらゆる所に溢れています。これからますます成人矯正は盛んになっていくと思われます。
この20年間、女性の社会的な地位もアップしました。その結果、お金に余裕のある女性も増えました。また、一人の女性が一生のうちに出産する子供の数が減少し、女性が自分自身にかけるお金に余裕ができてきました。矯正治療は保険がきかず高額ですから、お金に余裕がないとなかなかできません。つまり、これら、女性を取り巻く環境の変化も、成人矯正が増えている要因なのだと思われます。
『矯正治療は何歳までできるのか?』のコラムに書いたように、基本的に歯列矯正には年齢制限はありません。重篤な歯周病がない限り、或いは、奥歯がほとんど喪失しているようなことがない限り、歯列矯正は可能です。そんな成人矯正にあって、30歳代がゴールデンエイジ(黄金時代、全盛期、絶頂期)だと私は考えています。20歳代の場合、費用の面や矯正受診の決定など親がかりの方がまだまだいらっしゃいます。それに比べて、30歳代は、自分で稼いだお金で矯正治療を始めるため、とても協力が良く、治療が成功する可能性が極めて高いのです。
治療がうまくいかなくなるリスクには、次の6つがあります。
つまり、これら6つのリスクを回避すれば、治療が成功するのです。これは、『子供さん自身が歯並びを気にしていますか?』のコラムで、子供さん自身が患者の場合に書いたものでした。実は、これは大人であっても当然当てはまることなのです。歯並びは、矯正歯科に通院するだけで治るのではなく、決められた装置や顎間ゴムなどを、決められた時間装着することによって治ります。また、折角治った歯並びを維持するためには、リテーナー(保定床)を毎日使用する必要があるのです。患者さん自身がモチベーションを維持し続けながら、ドクターの指示をきっちり守ることが、治療の成功へとつながるのです。決して、親や他人の強制では成り立たないのです。自分で稼いだお金で治療を受け、自分一人であらゆる事を決断する30歳代だからこそ、うってつけなのです。また、30歳代なら、酷い歯周病の方も少なく、また、多数の奥歯を喪失していることも少ないですから、30歳代はまさしくゴールデンエイジなのです。
欧米では、歯並びの良さは、洋服やアクセサリーなどと同様で、身だしなみと考えられているようです。ライフスタイルは欧米化しつつありますので、日本でも歯列矯正は必須の身だしなみとなるかもしれません。いつまでも若くありたいという女性の美への探求心にはいつも感心しています。平均寿命が延びたことにより、30歳以降の人生の方が長いのですから、歯列矯正治療によって獲得した美しい歯並びと笑顔は、今後の人生に張りをもたらすでしょう。思い切って歯列矯正の世界に一歩足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
P.S. 1
当院で治療した、30歳代の症例はこちらです。また、40歳代以上の症例はこちらでご紹介しています。
P.S. 2
子供の矯正のために訪れた医院で興味を持ち、子供さんだけでなく、親御さん自身が矯正を始められることがあります。当院でも、子供さんの歯並びがどんどんキレイになるのを目の当たりにして、自身の矯正を決心されたお母さんがいらっしゃいます。まさしく、『百聞は一見にしかず』ですね。
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残念なことに、未熟なドクターによる不適切な治療のせいで、歯並びが治らないことがあります。このようなトラブルに遭わないためには、患者さん自身の歯並びとよく似ていて、実際にそのドクターが治した症例を見せてもらいましょう。これも、『百聞は一見にしかず』ですね(【歯列矯正をしたのに、歯並びが治らない!?】のコラムも参照して下さい)。