− 歯列矯正とは、人生の質を良い方向へと導くための治療 −
何のために歯列矯正をするのか?私の答えは明快です。『今以上に幸せになるため』。
歯並びが良くなくても、幸せですよという人は大勢いるでしょう。もちろん、そのことを否定しません。私が言っているのは、今以上ということなのです。人生という舞台の主役として、今以上に輝くため、歯列矯正をするのです。
【歯並びの良さは素晴らしき身だしなみ】というコラムで、出っ歯が原因でいじめられていた少女のことを書きました。いじめられることにより、少女は自信をなくし、成績にまで悪影響がでました。しかし、歯列矯正治療で笑顔とともに自信を取り戻し、成績まで伸びました。彼女にとっての歯列矯正は、いじめ克服だけでなく、今以上に幸せになるための矯正だったのです。
先日、ミャンマーで活躍する小児外科医の吉岡秀人先生のことをテレビで見ました。彼は、18歳以下は医療費無料の病院で働き、なんと1日に20件もの手術をするといいます。さらに、孤児院も運営されている聖人のようなドクターです。写真は、口唇裂患児の手術後、その両親から手を合わされ、感謝されているシーンです。口唇裂は、生まれつき唇が裂けている、先天異常の病気です。命には関わりませんが、子供の幸せを願う親にとって大変切実な問題です。その手術後の吉岡先生が語った言葉が印象的でした。「医療とはね、元々、人を救ってなんぼだと思っていた。しかし、こういう子ども達を沢山診ると、人の命を救うのは一部分だと思うようになった。ほとんどの場合は、人生の質を変えることが医療の役目なんだと思うようになった。だから、どんな簡単な手術も手を抜かない。」
矯正歯科は生死とは無関係です。ひょっとすると、医療の中で最も生死から遠いところにあるかもしれません。だからこそ、日々の診療中、子供の将来を楽しみにし、更なる幸せを願う親の気持ちを痛いほど感じます。吉岡先生が語った言葉は、まさしく私が感じていたことそのものでした。矯正歯科とは、人生の質を良い方向へと導くための治療なのです。
かって、国全体が貧しく、生きることが精一杯な時代がありました。しかし、今や、食うに困ることはなく、平均寿命も延びました。これからは、生活の質、人生の質の追求がますます重要になっていきます。アメリカでは、歯並びの良さを身だしなみと考え、90%もの人が矯正をします。アメリカにならう日本でも、いずれそのような価値観が根付くでしょう。
歯列矯正で歯並びが綺麗になると、自然と、白い歯がこぼれるようになります。子供の幸せを願う親にとって、まさしく至福の時でしょう。綺麗に整った歯列から生み出される笑顔は、とても清潔感があり、身だしなみとしても素敵です。もうすぐ、何か新しいことを始めたくなる春がやってきます。春休みに、親子で歯並びについて話し合ってみませんか。