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1-13 耳鼻咽喉科と歯並びの関係(耳鼻咽喉科との連携治療)

- 耳鼻咽喉科との連携治療が大事です -

以前、口唇・舌トレーニングという記事を書き、次のようなことを説明致しました。

『口呼吸や舌の悪習癖があると、歯列不正になる可能性が高くなります。更に、顔や顎の骨の成長発育にも悪影響を及ぼします。口呼吸は、口蓋扁桃やアデノイドの肥大、慢性鼻炎などが原因となっている可能性があります。口呼吸を止めて、鼻呼吸にするためには、口唇と舌をトレーニングする必要があります。場合によっては、耳鼻咽喉科での治療も受けて頂く必要があります。』

以上のような内容は、矯正歯科医にとって極めて常識で、鼻咽腔疾患と口呼吸がある患者さんには、かなりの時間をかけてご説明しております。当然ながら、治療には口唇と舌のトレーニングを組み込んでいます。私たちの医院だけでなく、ほとんどの矯正歯科で行われています。

これらの内容は、耳鼻咽喉科医にとっても常識的な内容だと思われます。しかし、耳鼻咽喉科医は、歯並びや顔の形にあまり興味がないのか、私の患者さんで、耳鼻咽喉科の先生からこれらの説明を受けられた人は残念ながら皆無です。

耳鼻咽喉科医が"歯並び"に関して、どれ位関心を持っているかを探る目的で、Google検索を利用してみました。キーワード【耳鼻咽喉科 歯並び】を検索して、上位50サイトについて、鼻咽腔疾患と歯並びが関連しているという内容を含んでいるか調べてみました。その結果、耳鼻咽喉科のホームページは、わずか1件でした。それに比べて、矯正歯科関連のホームページは14件もありました。その内訳を下記に示します。

キーワード【耳鼻咽喉科 歯並び】で検索した上位50サイトの内訳/(2011.06.22現在)

耳鼻咽喉科 1件*1
矯正歯科関連 14件
製薬会社 1件
Yahoo知恵袋 1件
目的の内容でない 33件

残念ながら、耳鼻咽喉科医は、歯並びに関してあまり興味を持っていないということを、示唆する結果となってしまいました。

もちろん、これだけで関心を持っていないと断言するには無理があると思います。保険診療を主体とした耳鼻咽喉科より、自費診療メインの矯正歯科は、ホームページにかける意気込みが上ですから、検索上位にランクされている可能性があります。また、鼻炎の症状が酷くなった時だけ耳鼻科に通院するという患者さんも多く、なかなか込み入った話までできていないだけかも知れませんので、関心がないとまでは断言はできないでしょう。しかしながら、患者さんと耳鼻咽喉科医との間で、歯並びの話があまり出ていないのは事実ではないでしょうか。それは、この結果が示すところではないでしょうか。

歯科と耳鼻咽喉科が扱う領域は、身体の中でお隣さんです。この両科の連携がうまくいけば、矯正治療ももっと簡単になるかも知れませんし、逆に、鼻炎が劇的に改善する可能性などもありそうです*2。患者さん-耳鼻咽喉科-歯科がwin-win-winの関係になれるよう切に願っております。ですが、先ずは学会レベルで交流が始まらない限り難しいでしょうね。

*1 この耳鼻咽喉科のHPには次のような記述があります。『ところが驚いたことに矯正中の患者さんに以上の様な話をすると「歯科ではそんな話を聞いたことがない」という答えがしばしば返ってくるのです。これでは担当歯科医のインフォームドコンセントが不充分であると思います。』
私の書いたことと矛盾している様に感じられるかもしれませんが、これは、一部の残念な歯科医の存在を指摘しているだけで、その前文で歯科医からの紹介もあることを書いておられますから、矛盾はしていないように思います。このような素晴らしい耳鼻咽喉科医がたくさんいらっしゃれば、今回の記事は、このような切り口にはなっていなかったでしょう。

*2 上顎歯列の拡大により、鼻腔の通気度が増したとする報告が多数あります。つまり、鼻の通りがよくなったということです。私の患者さんでも、鼻炎が改善したと言われることが時々あります。

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